Google Colabがエンタープライズ層を獲得

Google Colabがエンタープライズ層を獲得

AI アプリを実行するコードなど、誰でもブラウザ経由で任意の Python コードを記述、実行できるように設計された Google のサービスである Google Colaboratory (略して Colab) が、エンタープライズ層を獲得しつつあります。

Colab Enterpriseと呼ばれるこの新サービスは、開発者がPythonコードを書く環境であるColabノートブックと、Googleが「エンタープライズレベルのセキュリティ」および「コンプライアンスサポート機能」と呼ぶものを組み合わせたものだ。

Colabの無料プランと個別の有料プランでは、TPU AIアクセラレータチップを含むGoogleのクラウドホスト型ハードウェア上でPythonコードを実行できるが、Colab Enterpriseでは、データ抽出用のGoogleのBigQueryプラットフォームとの統合に加えて、GoogleのマネージドAIサービスであるVertex AIの「フルレンジ」機能にアクセスできる。

Colab Enterprise のお客様は、Vertex AI のモデル ライブラリである Model Garden で事前に構築された機械学習モデルを利用できるほか、モデルのトレーニング、テスト、展開のためのさまざまなモデル微調整ツール、データ サイエンス ツール、コンピューティング リソースも利用できます。

BigQueryとの統合により、Colab EnterpriseユーザーはBigQueryでノートブックを作成してデータの探索と準備を行い、その後、同じノートブックをVertex AIで開いて、拡張されたインフラストラクチャとツールを使って作業を続けることができます。ノートブックはチームメンバーや環境間で共有可能で、Google Cloudのデータおよびアナリティクス担当バイス・プレジデント兼ゼネラルマネージャーであるGerrit Kazmaier氏は電話インタビューでこの点を強調しました。

Google Colab
画像クレジット: Google

「誰も一人で仕事をすることはありません。データチーム間のコラボレーションはごく普通に行われています」と彼は述べた。「[Colab Enterprise]は、お客様が共有ノートブック上で同僚と共同作業を行う機能を提供します。これが当社のエクスペリエンスの大きな部分を占めています。」

Colab Enterpriseの展開は、企業のAIへの関心が衰える兆しを見せない中で行われました。Insight Enterprisesが最近実施した調査では、回答者の72%が今後3年以内にAIを事業に導入したいと回答しました。CNBCの別の調査では、企業のほぼ半数(47%)が、今後1年間のテクノロジー支出においてAIを最優先事項としていることが明らかになりました。

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AIトレンドの収益化に熱心なGoogleは、Colabを実験段階から、主に個人開発者や小規模データチームを対象としたフル機能の有料製品へと徐々に移行させてきました。そして今、Colabは2017年後半にGoogle Researchの社内プロジェクトからスピンアウトし、2020年にはプレミアムオプション、昨年には従量課金プランを導入しました。無料プランは引き続き提供されます。

Colab は AI 研究コミュニティ内でデモ用の事実上のデジタル ブレッドボードになっています。コードを書いた研究者が、コードをホストしている GitHub リポジトリ上または横に Colab ページへのリンクを含めることは珍しくありません。

「一言で言えば、(Colab Enterpriseは)企業の多くの期待に応えます。あらゆるサービス利用規約から、企業がガバナンスとコンプライアンスのために必要とするあらゆる保証まで、あらゆる要件を満たしています」とカズマイヤー氏は述べた。「お客様は、これをエンタープライズ製品として購入、利用、そして活用できます。『Colab Enterprise』という名前からもお分かりいただけると思いますが、私たちはGoogle Cloudのエンタープライズ製品として必要なあらゆる機能を基本的に追加することに取り組んできました。」

Google Cloud Next 2023 の詳細については、TechCrunch をご覧ください。

カイル・ウィガーズは2025年6月までTechCrunchのAIエディターを務めていました。VentureBeatやDigital Trendsに加え、Android Police、Android Authority、Droid-Life、XDA-Developersといった様々なガジェットブログにも記事を寄稿しています。音楽療法士のパートナーとマンハッタンに在住。

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