今年のBuildカンファレンスにおけるMicrosoftの最大の焦点は、ジェネレーティブAIです。そしてこのテクノロジー界の巨人は、ジェネレーティブAIを活用したアプリやエクスペリエンスを構築するためのプラットフォーム、Azure AI StudioとCopilot Studioの一連のアップデートを発表しました。
まず、Azure AI StudioとCopilot Studioについて簡単におさらいしましょう。Azure AI Studioは、MicrosoftのAzure OpenAIサービスに含まれるツールセットで、OpenAIが最近発表したGPT-4oなどのAIモデルを顧客が独自のデータと組み合わせ、そのデータを「推論」するチャットアシスタントなどのアプリを構築できます。一方、Copilot Studioは、Excel、Word、PowerPointなどのアプリやMicrosoft Edgeブラウザ、Windowsに搭載されているAI搭載の「コパイロット」であるCopilot for Microsoft 365をサードパーティのデータに接続するためのツールを提供します。
一般提供が開始されたAzure AI Studioでは、開発者が従量課金制の推論APIを使用して、生成AIを活用したアプリをまもなく構築できるようになります。これらのAPIを通じて、開発者はAzureインフラストラクチャ上でホストされている生成AIモデルにアクセスし、微調整することができます。マイクロソフトはこれを「モデル・アズ・ア・サービス(Model-as-a-Service)」と呼んでおり、まずはNixtlaとCore42のモデルから提供を開始し、今後はCohere、Stability AI、AI21 Labsなどのプロバイダーのモデルも追加していく予定です。
Azure AI Studioのその他の新機能(プレビュー版)では、生成型AI搭載アプリの異なるバージョンを比較することで、トレーニングとデバッグが可能になり、運用中のアプリの使用状況と品質を監視できます。ユーザーは、カスタム定義のフィルターと設定に基づいて、さまざまな傾向を視覚化し、アラートを受け取ることができます。
Azure AI Studio は、アプリやサービス全体にわたるデータへの不正アクセスを防止し、AI アプリにおける潜在的な「データリスク」を発見し、機密データを暗号化し、AI アプリの利用状況を管理する Microsoft のサービスである Microsoft Purview(プレビュー版)との統合も開始しました。また、Studio では、AI モデルの「脱獄」(つまり、モデルの安全対策を無効にする回避策)を防止し、幻覚やモデルが事実を捏造するケースを検出するための新しいツールもリリース予定です。

Copilot Studio では、Microsoft が Copilot エージェントをリリースします。同社はこれを「特定の役割や機能に合わせてタスクを自律的に調整できる」AI ボットと説明しています。Copilot エージェントは、記憶とコンテキストに関する知識を活用し、さまざまな種類のビジネスワークフローをナビゲートし、ユーザーからのフィードバックを学習し、対処方法がわからない状況に遭遇したときには支援を求めます。
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マイクロソフトのビジネス アプリケーションおよびプラットフォーム担当 CVP である Charles Lamanna 氏は、プレス リリースでこのコンセプトを次のように説明しています。「開発者は、定義されたタスクをコパイロットに提供し、必要な知識とアクションを装備します。すると、Copilot Studio が動的なワークフローを調整し、舞台裏で動作してそれらを統合し、タスクを自動化します。」
Copilot Studio の新機能として、拡張機能とコネクタも追加されました。これらは、Copilot for Microsoft 365 のプレビュー版と、Microsoft のエンタープライズ コラボレーション プラットフォーム Teams 内で直接利用できます。拡張機能を使用すると、開発者は AI 搭載のコパイロットを、指示、データベースからの知識、プラグインからのアクションなどを用いてカスタマイズできます。例えば、経費報告や従業員のオンボーディングといったタスクを処理するコパイロットを構築できます。一方、コネクタを使用すると、開発者は様々なソースから得られる組織の知識を用いてコパイロットを「基盤化」することができます。

「拡張機能により、Microsoft Copilot がユーザーに代わって実行できるアクションが拡張され、関連するビジネスデータに基づいて基礎知識をカスタマイズし、他の Copilot へのハンドオフが可能になります」と Lamanna 氏は付け加えます。「Copilot コネクタには、Power Platform コネクタ、Microsoft Graph コネクタ、Power Query コネクタが含まれており、Microsoft Fabric との統合も近日中に提供開始されます。これにより、Copilot は、パブリック Web サイト、SharePoint、OneDrive、Dataverse テーブル、Microsoft Fabric OneLake、Microsoft Graph、そして主要なサードパーティ製アプリなど、さまざまなデータソースを利用できるようになります。」
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カイル・ウィガーズは2025年6月までTechCrunchのAIエディターを務めていました。VentureBeatやDigital Trendsに加え、Android Police、Android Authority、Droid-Life、XDA-Developersといった様々なガジェットブログにも記事を寄稿しています。音楽療法士のパートナーとマンハッタンに在住。
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