吉利汽車のジークルは米国でのIPOに向けて準備を進めているが、中国の影響は依然として懸念材料

吉利汽車のジークルは米国でのIPOに向けて準備を進めているが、中国の影響は依然として懸念材料

中国吉利汽車傘下の高級電気自動車ブランド、ジーカー(Zeekr)が米国での株式公開に向けて準備を進めていることが、木曜日に提出された規制当局への提出書類で明らかになった。提出書類には、2023年上半期から2022年上半期にかけて損失が拡大するとの見通しが示されており、中国政府がジーカーの事業決定に影響を及ぼすリスクについても言及されている。

この動きは、ジーカーが米国での新規株式公開(IPO)を非公開で申請したと発表した約1年後に起こった。ジーカーのIPOが成立すれば、中国が外国企業のIPOを事実上禁止して以来、約2年ぶりの中国における主要な上場となる。2022年8月、ワシントンと北京は、米国で取引する中国企業の監査文書を米国当局が審査することを認めることで、ニューヨーク証券取引所に上場する200社以上の中国企業の上場廃止の可能性を低減する合意に達した。

それでも、Zeekrの主なリスク要因の1つは中国の影響だ。

「中国政府は当社の事業運営に大きな影響力を及ぼしており、規制、政治、社会目標の達成に適切だと政府が判断した場合、当社の事業に介入したり、影響を与えたりする可能性がある」とジーカーは目論見書で述べた。

Zeekrは、発行予定の株式総数、1株当たりの発行価格、そして調達予定額と評価額をまだ明らかにしていない。ロイター通信は関係筋の話として、吉利汽車からスピンオフするZeekrは、上場を通じて10億ドル以上の資金調達を目指しており、評価額は100億ドル以上を目指していると報じている。

申請書には、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ証券、CICC、その他多数の機関が引受証券会社として記載されている。

Zeekr、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスは、TechCrunch+からの詳細情報の要請に応じていない。

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提出書類には、ジーカーは吉利汽車から分離されるものの、この伝統的な自動車メーカーは支配株主として残り、取締役選任の議決権の50%以上を保有し、ジーカーをいわゆる支配会社にすると明記されている。

画像クレジット: Zeekr

Zeekrの製品

2021年にGeely傘下で設立されたZeekrは、Zeekr 001、Zeekr 009、Zeekr Xという3つの量産バッテリー電気自動車モデルを製造している。

EVメーカーのジーカーは、累計17万53台のジーカーを納入したと発表した。納入台数は主にフラッグシップモデルのジーカー001クロスオーバーが中心となる。ジーカー001と、4月に中国で発売された都市型SUVのジーカーXは、ますます熾烈な競争が続く中国のEV市場において、テスラのモデルYクロスオーバーと直接競合する。ジーカー001の航続距離は約375マイル(約600km)、価格は約37,000ドル(約269,000人民元)。ジーカーXの航続距離は348マイル(約550km)、価格は約27,600ドル(約190,000人民元)。

Zeekr 009大型ミニバンは2022年11月にデビューしました。航続距離は436マイルから、価格は499,000人民元(現在の為替レートで約73,700ドル)からです。

Zeekrの中国での成長は、主に消費者直販のビジネスモデルによるもので、同社はこのビジネスモデルを欧州などの新市場にも展開することを目指しています。また、同社は手頃な価格帯でスマートな高級車を製造することでも高い評価を得ています。

Zeekrは今年初め、2023年末までに欧州市場に参入することを約束していた。同社は、第4四半期からスウェーデンとオランダで001とXの販売を開始し、その後、他の欧州都市にも急速に拡大する計画だと述べた。

欧州では、欧州委員会がEUの自動車メーカーを保護するため、政府の補助金を受けているとされる中国製EV輸入車に懲罰的関税を課すかどうかを検討しており、Zeekrは欧州で何らかの問題に直面する可能性がある。

Zeekrは、ヨーロッパ以外にも、イスラエルやカザフスタンなどの市場への進出も視野に入れている。

Zeekrは米国でのEV販売計画を明らかにしていないが、バイデン政権のインフレ抑制法による優遇措置を一切受けられないことを考えると、販売は困難だろう。しかし、ZeekrはWaymoとロボタクシー供給契約を結んでおり、同社のロボタクシーは2023年末までに米国で試験運用が開始される予定だ。

EVメーカーの同社は、自動運転技術企業モービルアイとも提携し、同社の先進運転支援システム「SuperVision」を既存のZeekr 001 11万台に無線アップデートで導入しました。両社は以前、中国消費者向けの自動運転車の開発計画について合意していました。

Zeekr X アーバンSUV。画像提供: Zeekr

Zeekrの財務状況を分析

SECへの提出書類によると、ジーカーは2023年上半期の自動車販売による売上高は約18億ドルで、前年同期の7億2,730万ドルから減少し、粗利益率はそれぞれ12.3%と4.7%となったと述べた。ちなみに、テスラの2023年上半期の売上高は412億ドルで、粗利益率は約18.75%だった。

Zeekrは、R&Dサービスやその他のサービス、およびバッテリーやその他の部品の販売からも収益を生み出しており、2022年と2023年の最初の6か月間の総収益はそれぞれ12億ドルと約30億ドルになると述べている。

ジーカーは今年上半期に5億3,380万ドルの純損失を記録した。これは2022年の同時期の4億2,360万ドルの純損失から増加した。このEVメーカーは2023年上半期を3億8,200万ドルの現金および現金同等物で終えた。

こうした損失拡大の一部は、テスラが年初に中国で開始した価格競争に起因する可能性があり、EVメーカーの収益性に影響を与えています。中国では、消費者の支出抑制に伴い、EV需要も弱まっています。

しかし、ジーカーは吉利汽車の製造設備とコスト削減能力に頼ることができ、現時点では十分な資金を調達している。2月には、評価額130億ドルで7億5000万ドルの資金調達ラウンドを完了した。このラウンドには、モービルアイのCEOであるアムノン・シャシュア氏と中国のバッテリー大手CATL(寧徳時代新能源科技)も出資した。