米国、ペガサススパイウェアをめぐりセキュリティ企業NSOグループとの取引を禁止

米国、ペガサススパイウェアをめぐりセキュリティ企業NSOグループとの取引を禁止
画像クレジット: JOEL SAGET / 寄稿者

監視ソフトウェア開発会社NSOグループは、今後非常に厳しい状況に直面する可能性がある。米国商務省はNSOをエンティティリストに追加し、事実上同社との取引を禁止した。この措置により、米国企業は明示的な許可を得ない限り、NSOとの取引ができなくなる。しかし、この規則では輸出許可の例外が認められておらず、米国は審査を却下する可能性が高いため、NSOとの取引は認められないだろう。

NSOと同じくイスラエルの企業Candiru(同じくエンティティリストに掲載)は、権威主義国家による敵対的なスパイ活動を助長したとして非難されている。両社は、NSOのPegasusのようなスパイウェアを「権威主義国家」に供給し、活動家、ジャーナリスト、その他の批判者を追跡して政治的反対意見を抑圧しようとした疑いがある。商務省によると、これはバイデン・ハリス政権が人権を米国外交政策の「中心」に据えるという取り組みの一環だ。

今回の一連の貿易禁止措置は、ロシア企業のポジティブ・テクノロジーズとシンガポールのコンピュータ・セキュリティー・イニシアチブ・コンサルタンシーにも影響を及ぼしており、両社ともハッキングツールの販売で告発されていた。

NSOグループにコメントを求めたが、公式メディア連絡先に誤りがあった。同社は、過去にペガサスが殺害されたジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏を標的とした攻撃に使用されたという主張を含め、不正行為を助長したという主張を強く否定している。NSOは、過去の不正行為についてはアクセスを遮断したと述べ、さらに名誉毀損訴訟専門の弁護士を雇い、調査報道を行うジャーナリストとそのパートナーが誤解や根拠のない憶測を行ったと訴えた。

しかし、商務省はNSOの行動に関する証拠を持っていると主張している。最終的な影響は同じだ。NSOが必ずしも破滅するわけではない。しかし、ブロックリストに名を連ねるHuaweiと同様に、NSOもこれまで利用していた米国のパートナー企業とのつながりを失うと、事業運営に困難をきたす可能性がある。

11月3日午後12時(東部標準時)更新: NSOグループの広報担当者はEngadgetに対し、同社は今回の決定に「落胆している」と述べ、同社のツールは「テロや犯罪の防止」に役立ってきたと主張しました。NSOは禁止措置の撤回を求めるとともに、「世界で最も厳格な」人権・コンプライアンス体制を有しているとの主張を改めて表明しました。声明全文は以下をご覧ください。

NSOグループは、当社の技術がテロや犯罪の防止を通じて米国の国家安全保障上の利益と政策を支援していることを踏まえ、今回の決定に遺憾の意を表します。この決定の撤回を求めていきます。当社が深く共有するアメリカの価値観に基づき、世界で最も厳格なコンプライアンスおよび人権プログラムを実践していることについて、詳細な情報を開示できることを楽しみにしています。このプログラムにより、既に当社製品を不正に使用した政府機関との契約を複数回解除しています。

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編集者注: この記事はもともと Engadget に掲載されました。

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Jon Fingas 氏は Engadget の寄稿ライターです。

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